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福岡地方裁判所 昭和61年(わ)1563号 判決

本店の所在地

福岡市中央区天神二丁目三番一二号

法人の名称

有限会社牛尾味楽堂

代表者の住居

福岡市中央区天神二丁目三番一二号

代表者の氏名

牛尾浩二

本籍

福岡市中央区天神一丁目八四番地の二

住居

同区天神二丁目三番一二号

会社役員

牛尾浩二

昭和五年九月二一日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官寺澤俊彦出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人有限会社牛尾味楽堂を罰金一一〇〇万円に、被告人牛尾浩二を懲役一年にそれぞれ処する。

被告人牛尾浩二に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人有限会社牛尾味楽堂は、福岡市中央区天神二丁目三番一二号に本店を置き、茶道具並びに古美術品の売買等を目的とする資本金二〇〇万円の会社であり、被告人牛尾浩二は、被告人会社の代表取締役として業務全般を統括しているものであるが、被告人牛尾浩二は、被告人会社の業務に関し法人税を免れようと企て、売上の一部を除外するなどして簿外の有価証券を蓄積するなどの方法により所得を秘匿したうえ

第一  昭和五七年八月一日から同五八年七月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が九四五八万七九五二円であったにもかかわらず、同五八年九月二八日、福岡市中央区天神四丁目八番二八号所在の福岡税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が三六五七万二四一一円で、これに対する法人税額が一三九六万八〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により被告人会社の右事業年度における正規の法人税額三八三一万〇一〇〇円と右申告税額との差額二四三四万二一〇〇円を免れ

第二  昭和五八年八月一日から同五九年七月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が四〇二九万五五五五円であったにもかかわらず、同五九年九月二六日、前記福岡税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二二一二万九五〇七円で、これに対する法人税額が八三三万八六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により被告人会社の右事業年度における正規の法人税額一六一八万八二〇〇円と右申告額との差額七八四万九六〇〇円を免れ

第三  昭和五九年八月一日から同六〇年七月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が六二三九万〇一三二円あったにもかかわらず、同六〇年九月二七日、前記福岡税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二五二九万四二九三円で、これに対する法人税額が九七八万七一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により被告人会社の右事業年度における正規の法人税額二五八三万八四〇〇円と右申告額との差額一六〇五万一三〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

一  被告人牛尾浩二の当公判廷における供述

一  被告人牛尾浩二の検察官に対する供述調書

一  被告人牛尾浩二の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  平石美代子の検察官に対する供述調書

一  平石美代子(不同意部分を除く)及び鶴﨑和俊の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  大蔵事務官作成の査察官調書(検一四号)

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書説明資料

一  牛尾浩二作成の各上申書

一  平石美代子作成の各上申書

一  石井康三郎作成の登記簿謄本

判示第一の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(検二号)

一  押収してある法人税確定申告書一綴(昭和六一年押第五三一号の一)

判示第二の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(検三号)

一  大蔵事務官作成の査察官報告書謄本(検五号)

一  押収してある法人税確定申告書一綴(同押号の二)

判示第三の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(検四号)

一  押収してある法人税確定申告書一綴(同押号の三)

(法令の適用)

被告人有限会社牛尾味楽堂につき

罰条 いずれも法人税法一六四条一項、一五九条一項

併合罪の処理 刑法四五条前段、四八条二項

被告人牛尾浩二につき

罰条 いずれも法人税法一五九条一項(いずれも懲役刑選択)

併合罪の処理 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第一の罪の刑に法定加重)

執行猶予 刑法二五条一項

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 村瀬均)

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